「e-Tax還付金の受取手続について」は詐欺メール|国税庁を装いアプリを入れさせる手口の見分け方

この記事のまとめ
「e-Tax還付金の受取手続について」「【e-Tax】税務署からのメッセージボックス通知」など、国税庁を装う偽メールが繰り返し確認されています。Androidアプリのインストールを求める危険な型の実例と、公式情報に基づく見分け方を解説します。
「e-Tax還付金の受取手続について」――こんな件名のメールが届いても、リンクやボタンを押してはいけません。
実際に配信が確認された件名の一覧
総務省の委託で迷惑メールを監視する「迷惑メール相談センター」のモニターアドレスに着信した件名です。
下記に一致する、または酷似する件名のメールは、リンクを開かないでください。
| 件名(実物) | 確認日 |
|---|---|
| 【ご案内】税務署からのお知らせが届いています | 2026/9/28 |
| 【e-Tax】税務署からのメッセージボックス通知 | 2026/9/25 |
| e-Tax還付金の受取手続について | 2026/9/24 |
| 税務署からのお知らせ | 2026/9/10 |
| 税務署からのお知らせ【還付金の処理状況に関するお知らせ】 | 2026/8/27 |
出典:迷惑メール相談センター「要注意メール」(総務省委託・実際にモニターアドレスへ着信したメールの集計)
注意してほしいのは、9月10日の「税務署からのお知らせ」です。
これは本物のe-Taxが使っている件名と同じです。e-Taxは、メッセージボックスにお知らせが届いたときに「税務署からのお知らせ」という件名でメールを送っています。
件名だけでは見分けられません。 だからこそ、次の一点を覚えてください。
決定的な手がかり:本物のメールにURLは書かれていません
国税庁とe-Taxは、公式にこう案内しています。
e-Taxから送信するメールにはファイルを添付することはなく、原則としてメール本文内にURLも記載していません。 (国税庁「不審なメールや電話にご注意ください」)
本文にURLやボタンが並んでいたら、その時点で偽物と判断できます。
この記事で紹介する偽メールは、すべて本文にボタンが置かれています。「アプリをダウンロードして手続き」「専用リンク」といった具合です。本物はこれをしません。
あわせて、e-Taxは送信元を1つに限定しています。
送信元表記:e-Tax(国税電子申告・納税システム)‹info@e-tax.nta.go.jp›
e-Taxでは、(中略)掲載しているパターンのメールのみ送信しています。掲載しているパターンと異なるメールは、e-Taxから送信したものではありません。
そして、国税庁が明確に否定している行為が2つあります。
国税庁では支払の催促などをメールで送信していません。
国税庁(国税局、税務署を含みます)では、国税の還付金受取や納付のために金融機関等の現金自動預け払い機(ATM)の操作を求めることはありません。 また、国税の納付のために金融機関の口座を指定して振込みを求めることはありません。
「還付金を受け取るために手続きしてください」というメールは、国税庁が挙げている偽メールの事例そのものです。
この型がとくに危険な理由:アプリを入れさせようとします
これまでこのサイトで紹介してきた偽メールは、ほとんどが偽サイトでIDやカード情報を入力させる型でした。
この型は違います。端末にアプリをインストールさせようとします。
9月24日・25日・28日の3通は、いずれもこう書かれています。
お手続きは、e-Taxアプリ内のメッセージボックスより実施いただけます。 なお、Android版e-Taxアプリを未インストールの場合は、下記ボタンよりアプリをインストールのうえ、お手続きくださいますようお願いいたします。 アプリをダウンロードして手続き 還付金に関するご案内はメッセージボックスでのみご確認いただけます。
**「還付金の案内はアプリの中でしか見られない」**と言い切ることで、アプリを入れるしかない状況を作っています。
なぜ、入力させるより危険なのか
メールのボタンからインストールするアプリは、Google Play を通っていません。 審査を受けていないアプリを端末に入れることになります。
パスワードを1つ盗まれた場合、被害はそのサービスに限られます。アプリを入れてしまうと、端末そのものが相手の手に渡ります。
- 端末内の連絡先やSMSを読み取る
- 銀行アプリのログイン画面をそっくり表示して入力させる
- 届いたワンタイムパスワードを盗み見る
「まだ何も入力していないから大丈夫」が通じない型です。
8月に確認された型は、「ユーザー補助機能をオンに」と指示していました
9月10日に確認されたものは、さらに踏み込んでいます。
国税庁/NATIONAL TAX AGENCY Andriodユーザー限定 先着1000名 総額5000万円キャッシュバックキャンペーン 本アプリは納税申告されるお客様に、もっと便利に、もっと身近に、納税申請や還付金申請を行える様、国税庁公認の国税還付システムです。 ■注意事項 1、本アプリをご利用するには必ずユーザー補助機能を有効(ON)にしてください。 2、還付金が正しく送付されるために、個人口座情報をきちんと確認の上、お手続き完了してください。
1番目の注意事項が、この記事でいちばん覚えて帰ってほしい一文です。
Androidの「ユーザー補助機能(アクセシビリティ)」は、画面に表示されている内容を読み取り、操作を代行できる仕組みです。目や手が不自由な方が使うための、正当で必要な機能です。
その権限をアプリに渡すと、あなたが画面で打ち込むものはすべて見えるようになります。 銀行アプリのパスワードも、届いたワンタイムパスワードも、送金操作も。
まともなアプリが、インストール直後に「ユーザー補助機能をオンにしてください」と求めることはありません。 画面読み上げや操作補助が目的のアプリでなければ、必要がないからです。
「ユーザー補助機能を有効にしてください」と指示されたら、そこで止めてください。 理由を説明されても、キャンペーンに当たっていると言われても、オンにしないでください。
そのほかの手がかり
「Andriod」とつづりを間違えています
本文に2回出てきますが、2回とも「Andriod」です。正しくは「Android」。「i」と「o」が入れ替わっています。
「国税庁公認の国税還付システム」
「公認」と書けば信じてもらえる、という発想です。国税庁が民間のアプリを「公認」して還付金を配る仕組みはありません。
「先着1000名 総額5000万円キャッシュバック」
税務署がキャンペーンでお金を配ることはありません。 還付金は払いすぎた税金が戻るものであって、抽選や先着で増えるものではありません。
文字が逆さまに並んでいます
このメールのデータそのものを見ると、こうなっています。
本メールは、e-xaT(国税還付システム)にメールアドレスを登録いただいた方へ配信しております。 発行元:国税庁 Copythgir(C) NATIONAL TAX AGENCY ALL Rights Reserved.
「e-Tax」が「e-xaT」、「Copyright」が「Copythgir」――文字が逆さまです。
そのうえで、「ここから先は右から左に読め」という指示の文字(画面には表示されません)を挟むことで、表示だけを正しい向きに戻しています。
狙いは、迷惑メールフィルターの回避です。フィルターは「e-Tax」という並びを探しますが、中身が「e-xaT」なら見つかりません。人間の目には正しく見えるのに、機械には別物に見える――その差を突いています。
同じ細工は、PayPayを装う偽メール(2026年8月20日)でも確認されています。ブランドが違っても、同じ道具が使われています。
9月24日・25日・28日の3通は、同じ雛形です
この3通を並べると、日付の扱いのいい加減さが見えます。
| 9月24日 | 9月25日 | 9月28日 | |
|---|---|---|---|
| 対象 | 令和7年度分 | 令和8年度分 | 令和8年度分 |
| 期限(見出し部分) | 令和8年10月27日 | 令和8年9月28日 | 令和8年10月1日 |
| 期限(本文中) | — | 令和8年10月20日 | 令和8年10月1日 |
9月25日版は、同じメールの中で期限が食い違っています
受取手続完了期限 令和8年9月28日
つきましては、受取手続完了期限(令和8年10月20日)までに所定のお手続きをお願いいたします。
9月28日と10月20日。 同じメールの中で、期限が2つ書かれていて、しかも合っていません。
日付を差し替えながら連日ばらまくと、直し忘れた箇所が残ります。期限が2か所以上書かれているメールは、突き合わせてみてください。
「令和8年度分」の確定申告は、まだ存在しません
9月25日版と28日版には、こう書かれています。
**令和8年度分(令和8年1月1日~令和8年12月31日)**所得税確定申告に係る還付金の受取手続きが、現在未了となっております。
自分で「令和8年1月1日~令和8年12月31日」と書いています。その期間は、まだ終わっていません。
終わっていない期間の確定申告が済んで、還付金が確定している――時系列として成立しません。
前日の9月24日版は「令和7年度分」と書いていて矛盾がありません。雛形の一部だけを書き換えた跡です。
「何年分の話なのか」を確かめてください。 去年の分でなければ、おかしいと思って構いません。
8月27日の型は、「全員に義務付け」と書いていました
税務署からのお知らせ【還付金の処理状況に関するお知らせ】
この型は、還付金ではなくアカウント登録を求めるものでした。
令和8年度の税制改正等のうち、以下の申告手続について、追加及び修正を行い。 税制改正に伴い、税金の状況をわかりやすくするため。E-Taxの個人納税アカウントを持つことを全員に義務付けています このメール受信後24時間以内に下記の専用リンクからE-taxアカウントをご登録ください。
「全員に義務付け」も「24時間以内」も、どちらも事実ではありません。
e-Taxの利用は任意です。税制改正で全国民にアカウント登録が義務づけられたことはありません。 そして国税庁が、手続きの期限を「メール受信後24時間以内」と設定することもありません。
日本語も崩れています。「追加及び修正を行い。」 ――文が途中で句点で終わっています。「税制改正に伴い、税金の状況をわかりやすくするため。」も同じで、文が完成していません。
本文の後半は、国税庁の文書の丸写しです
このメールの後半は、国税庁の「ウェブアクセシビリティ方針」の条文で埋められています。
国税庁では、ウェブサイトにおいて提供する情報を誰もが支障なく利用いただけるよう、(中略)ウェブサイトを管理運営いたします。
還付金の案内と何の関係もない文章です。 本物らしい分量と体裁を作るために、公的な文書をまるごとコピーして貼り付けています。
9月24日・25日・28日の型でも、同じことをしています。そちらは「e-Taxホームページにおける個人情報保護方針」の条文でした。
長くて役所らしい文章が続いていても、それは本物の証拠になりません。 コピーできるものは、すべてコピーされます。
正しい確認方法
還付金の話が本当かどうかは、メールを読んでも分かりません。 次の手順で確認してください。
- メールのリンクとボタンは押さない。 アプリもインストールしない
- e-Taxの公式サイト(
e-tax.nta.go.jp)を、自分でブックマークまたは検索から開く - ログインして、メッセージボックスに本当にお知らせが届いているかを確認する
- 届いていなければ、そのメールは無視して構いません
アプリが必要なときも、Google Play または App Store を自分で開いて探してください。 メールのリンクからインストールしないでください。
不安が残るときは、最寄りの税務署に自分から電話して確認します。 メールに書かれた連絡先は使わないでください。税務署の電話番号は、国税庁の公式サイトの「税務署の所在地などを知りたい方」で調べられます。
覚えておくと強い3つの事実
| 国税庁が公式に言っていること |
|---|
| e-Taxのメールには、原則としてURLが書かれていない |
| 国税庁は、支払の催促をメールで送らない |
| 国税庁は、還付金の受取のためにATMの操作を求めない |
この3つのどれかに反していたら、偽物です。 文面の粗探しをする必要はありません。
もしアプリを入れてしまったら
入力していなくても、アプリを入れた時点で対応してください。
- 機内モードにして、通信を止める(Wi-Fiもオフにします)
- そのアプリをアンインストールする。 消せない場合は、設定の「ユーザー補助機能」からそのアプリの権限をオフにしてから削除します
- 端末の「ユーザー補助機能」の一覧を開き、見覚えのないアプリが有効になっていないか確認する
- 銀行・証券・決済アプリのパスワードを、別の端末(パソコンなど)から変更する
- 銀行の残高と取引履歴を確認する。 身に覚えのない出金があれば、すぐに銀行の緊急連絡窓口へ連絡する
- 不安が残る場合は、端末の初期化を検討してください
口座情報やカード情報を入力してしまった場合は、銀行・カード会社にすぐ連絡して、利用停止と再発行を依頼してください。不正送金は初動の速さがすべてです。
不安なときは、警察相談ダイヤル:#9110、消費者ホットライン 188 に相談してください。
確定申告をするご家族がいる方へ
この型は、確定申告をしたことがある人に効きます。 会社員でも、医療費控除やふるさと納税、住宅ローン控除で申告した年があれば「還付金」に心当たりが生まれます。
ご家族と、次の1点だけ決めておいてください。
税務署からのメールは、リンクを押さない。e-Taxの画面を自分で開いて確認する。
「見分けられるようになる」のは難しいですが、「自分でサイトを開く」だけなら誰でもできます。
そして、「アプリを入れてください」と言われたら、いったん家族に相談する。 これも決めておくと確実です。
「これって詐欺?」で30秒チェック
「この税務署からのメール、本物?」と迷ったら、無料の判定ツールで確認できます。
- 選択式で30秒チェック
- スクショアップロードで詳細判定
- 完全無料・登録不要
困ったときの相談窓口
- 警察相談ダイヤル:#9110(平日8:30〜17:15・通話料有料)
- 消費者ホットライン 188(最寄りの消費生活センターへ)
- 最寄りの税務署の総務課(国税庁公式サイトで番号を調べてから、自分でかけてください)
- 契約している銀行・カード会社の緊急連絡窓口(不正送金の疑いがあるとき)
進行中の被害・緊急時は 110番(警察)へ。
参考情報・公的情報源
本記事は以下の公的機関・公式情報源を参考に作成しています。最新情報や詳細は各機関の公式ページをご確認ください。
編集部
警察庁・国民生活センターの公表情報をもとに、最新の詐欺手口を発信しています。



