警察を装ったキャッシュカード詐欺の手口と対処法

この記事のまとめ
「警察ですが、あなたのキャッシュカードが不正使用されています」――こんな電話は典型的な特殊詐欺です。手口、危険サイン、被害にあったときの対処法を解説します。
「警察の○○ですが、あなたのキャッシュカードが詐欺事件に使われています。すぐにカードを預かりに行きます」――こんな電話を受けたら、ほぼ確実に特殊詐欺です。
警察官や銀行員を装ってキャッシュカードを奪い取る詐欺は、2024年には被害件数1万件以上、被害総額は数百億円。とくに高齢のご家族が標的になりやすい類型です。本記事では、典型的な手口、危険を見抜く7つのサイン、被害にあったときの対処法を解説します。
こんな連絡が来たら要注意(実例3つ)
実例1:警察を装う電話
「○○警察署の田中です。あなたのキャッシュカードが詐欺事件で使われています。古いカードを新しいものに交換する必要があるので、これから職員がご自宅に伺います」
実例2:銀行員と組んで現れる
「警察の捜査にご協力いただいている銀行員です。古いカードと暗証番号を確認させていただきます。新しいカードはあとで郵送します」
実例3:金融庁・金融機関協会を装う
「金融庁の調査により、あなたの口座が犯罪に使われている疑いがあります。今すぐ口座を凍結する必要があります。職員を派遣しますので、カードと通帳をお預けください」
これらはすべて典型的なキャッシュカード詐欺の手口です。本物の警察・銀行・金融庁が、このような形でカードを預かりに来ることは絶対にありません。
キャッシュカード詐欺の典型的な手口
詐欺グループは、おもに3つの段階で計画的に攻撃を仕掛けてきます。
段階1:警察を装った電話
「あなたのカードが詐欺事件に使われている」「逮捕した容疑者があなたの口座を悪用していた」と電話で告げ、相手の不安と信頼を引き出します。「警察手帳の番号」「事件番号」を伝えてリアリティを演出することもあります。
段階2:銀行員役の派遣
「カードを交換する必要がある」「銀行員が確認に伺う」と続け、自宅まで「職員」を派遣します。この「銀行員」は実際は詐欺グループのメンバーです。
段階3:カードと暗証番号の奪取
訪問してきた「銀行員」は、玄関でキャッシュカードを「封筒に入れて保管しておく」と言ってカードを受け取り、暗証番号も「念のため」と聞き出します。その隙に偽のカードとすり替え、本物を持ち去ります。被害者が気付くのは数日後、口座から預金が引き出された後です。
なぜ騙されてしまうのか
警察キャッシュカード詐欺に高齢者が騙されやすいのは、3つの心理的な仕組みが重なるためです。
ひとつめは権威性。 「警察」「金融庁」という公的機関を名乗られると、警戒心が一気に下がります。「警察が嘘をつくはずがない」という信頼感を悪用しているのです。
ふたつめは恐怖。 「あなたの口座が犯罪に使われている」「逮捕されるかもしれない」と告げられると、頭が真っ白になります。冷静な判断ができない状態で次の指示に従ってしまいます。
みっつめは段取りの巧妙さ。 電話→訪問→受け渡し、と複数のステップで進むことで、各段階で「もう一歩進んでいるから引き返せない」と感じてしまいます。気づけば全てを差し出している状態です。
危険サイン7つ(保存推奨)
以下に1つでも当てはまれば、詐欺の可能性が極めて高いです。
- 警察・金融庁を名乗る電話で「キャッシュカードが詐欺に使われている」と言われる
- 「これからカードを預かりに伺う」と職員派遣を予告される
- 暗証番号を聞かれる(警察・銀行は絶対に聞きません)
- カードを「封筒に入れて」「封印して」と指示される
- 「誰にも言わないで」「家族に内緒で」と口止めされる
- 「090」「080」などの携帯番号からの電話
- 折り返し連絡を「指定番号」にかけ直すよう言われる
「キャッシュカードを職員に預ける」「暗証番号を口頭で伝える」は、本物の警察や銀行では絶対にありません。
本物の警察・銀行はこうしている
本物の警察・銀行は、以下のいずれの行為もしません。
警察は、電話で「あなたのカードが詐欺に使われている」と連絡することはありません。捜査協力が必要な場合は、必ず書面または対面で通知されます。
銀行は、カードを職員が自宅まで取りに行くことは絶対にありません。カードの再発行が必要な場合は、必ず本人が窓口に来店するか、本人確認のうえ郵送で対応します。
金融庁は、口座の調査で個別の市民に電話することはありません。金融庁は監督官庁であり、個別の口座を直接調査する権限はありません。
「警察や銀行員が自宅にキャッシュカードを取りに来る」――これだけは100%詐欺と覚えてください。
もし被害にあったら
「カードを渡してしまった」「暗証番号を教えてしまった」――そんなときは、口座のお金を守るための初動が重要です。
即座にすべきこと
- 110番(警察)または最寄りの警察署へ通報
- 銀行に電話して口座凍結を依頼(夜間でも各銀行に緊急連絡窓口あり)
- 国民生活センター 188(消費者ホットライン)
カードを渡してから時間が経っている場合
銀行で取引履歴を確認し、不正引き出しの状況を把握してください。不正引き出しがあれば、銀行と相談して補償手続きを進めます。警察に被害届を提出することも忘れずに(補償を受けるために必要)。
被害発生から早ければ早いほど、預金を守れる可能性があります。1分1秒の差で結果が変わります。
予防のためにできる3つのこと
ひとつめ、留守番電話を活用する。 知らない番号からの電話には出ない、留守電に切り替える習慣をつけます。詐欺グループは留守電に録音されることを嫌がるため、これだけで電話詐欺の8割は防げます。
ふたつめ、家族との合言葉を決めておく。 「警察」「銀行」「役所」を名乗る連絡があったら、本物か確認するための合言葉を家族で共有します。「お母さんの誕生日に何があったか」など、家族しか知らない情報を即座に出せれば、詐欺は失敗します。
みっつめ、子世代から定期的に声をかける。 とくに離れて暮らすご両親には、月1回でも「変な電話なかった?」「警察や銀行から連絡なかった?」と声をかけてください。話題に出すこと自体が、ご両親の警戒心を保つことにつながります。
編集部
警察庁・国民生活センターの公表情報をもとに、最新の詐欺手口を発信しています。
