「【American Express】保有ポイントの有効期限が近づいています」は詐欺メール|アメックスを装う偽メールの見分け方

この記事のまとめ
「【American Express】保有ポイントの有効期限が近づいています」という偽メールが確認されています。本文末尾に「本メールはテスト用途のサンプルです」という作成時の指示文が残っているのが決定的な証拠です。実例と見分け方を解説します。
※このメールは「ポイント・マイル失効」を装うフィッシングの一種です。他ブランドを含めた全体の見分け方はこちら
実際に確認されている偽メール
【American Express】保有ポイントの有効期限が近づいています
(2026年8月7日に注意喚起)
本文は、メンバーシップ・リワードのポイント有効期限について、もっともらしく説明しています。
メンバーシップ・リワード®・ポイントは、入会日を基準としたプログラム年度(1年毎)で管理されており、各プログラム年度に獲得したポイントは3年後のプログラム年度末に失効いたします。 一度でもアイテムと交換いただくと、以降のポイントの有効期限は無期限となりますが、失効済みのポイントは復元できません
そして「▼ポイントの確認・交換はこちら」のURLで偽サイトへ誘導します。
決定的な証拠:作成時の指示文が残っている
この偽メールの本文末尾には、次の一文がそのまま残っていました。
※本メールはテスト用途のサンプルです。実際の配信に使用する場合は、事前に社内法務・コンプライアンス部門の承認を得てください。
これは、文面を生成した際の注意書きが、消し忘れられたまま送信されたものと考えられます。本物のアメリカン・エキスプレスが会員に送るメールに、こんな社内向けの但し書きが入ることはあり得ません。
近年は生成AIによって、詐欺メールの日本語が非常に自然になっています。この事例は、文面が流暢でも中身の検証が甘いという、いまの詐欺メールの実態をよく表しています。「日本語が自然だから本物」という判断はもう通用しません。
1か月後、まったく同じ文面が再配信されました
この偽メールは、2026年9月9日にも同じ件名・同じ本文で再び確認されています。 末尾の「※本メールはテスト用途のサンプルです。実際の配信に使用する場合は、事前に社内法務・コンプライアンス部門の承認を得てください。」という一文も、消されないまま残っていました。
1か月経っても、送信者は自分のメールの末尾を読み返していないということです。ポイント失効型の偽メールは、こうして同じ雛形が繰り返し使われます。だからこそ、一度覚えた見分け方は次も効きます。
アメックスを装う偽メールは、失効型だけではありません
同じ9月、アメックスを名乗る別の型が2種類確認されています。
【American Express】セキュリティ確認のお知らせ
(2026年9月8日)
「アメックスオンラインに異常なログインが検出されました」「セキュリティ保護のため、該当アカウントの利用を一時停止しております」として、「セキュリティ認証を解除する」のリンクを踏ませる型です。不安をあおって、こちらから進んでログインさせるのが狙いです。
【American Express】30,000円キャッシュバック|携帯電話料金のお支払いで
(2026年9月7日)
こちらは正反対に、得をさせる型です。「通信料のお支払いは、アメックスで。事前登録のうえ、30,000円をキャッシュバック<先着30,000名様限定>」と持ちかけ、「1クリックで事前登録」を押させます。
「失効します」「不正ログインです」「キャッシュバックします」——3つとも入口の言い分が違うだけで、行き先は同じ偽サイトです。 怖がらせる型だけを警戒していると、得をさせる型に足をすくわれます。「アメックスからのメールは、うれしい話でもリンクを踏まず公式アプリで確認する」と決めておくのが確実です。
9月18日:ついに社名が件名から消えました
【ご案内】アカウント情報の更新手続きについて
(2026年9月18日)
「American Express」も「アメックス」も、件名のどこにもありません。
本文を開くと、こうなっています。
アメリカン・エキスプレス・カード お手続きのご案内 アカウント情報の更新をお願いいたします お客様のアカウント情報の一部に、有効期限がまもなく満了となる項目、または未登録の項目がございます。 対象アカウント:/受付番号: ※お心当たりのない場合は、お手数ですが本メールを破棄していただけますようお願いいたします。
「どの項目か」が最後まで書かれていません
読み返してみてください。何を更新すればいいのか、一度も書かれていません。
有効期限がまもなく満了となる項目、または未登録の項目がございます
「または」でつないで、どちらなのかも特定していません。 そして「対象アカウント」「受付番号」はどちらも空欄です。
本物の通知なら、「ご登録のクレジットカードの有効期限」のように対象を名指しします。名指しできないのは、受信者が誰なのか知らないからです。
「お心当たりのない場合は破棄してください」は逃げ道です
末尾のこの一文にも注意してください。
※お心当たりのない場合は、お手数ですが本メールを破棄していただけますようお願いいたします。
一見すると良心的です。しかし本物の企業がこう書くのは、誤送信の可能性がある場合に限られます。「あなたのアカウントに更新が必要な項目がある」と名指ししておきながら「心当たりがなければ捨ててください」では、話が矛盾しています。
この一文は、疑った人を静かに立ち去らせ、疑わなかった人だけをリンクへ進ませるためのものです。通報や問い合わせを減らす効果もあります。
9月中旬:括弧が半角の「[AMERICAN EXPRESS]」型が3日連続
9月14日から16日にかけて、3日連続で別の件名が確認されています。
[AMERICAN EXPRESS] ご請求金額確定のご案内 (2026年9月14日)
[AMERICAN EXPRESS]アカウント情報のご確認のお願い。 (2026年9月15日)
[American Express]ポイント交換お申し込み受付のお知らせ(Eクーポン) (2026年9月16日)
括弧の形に注目してください
これまでのアメックスを装う偽メールは、**全角の【】**を使っていました(「【American Express】保有ポイントの有効期限が近づいています」など)。
この3通は、半角の [ ] に変わっています。
日本語のメールで社名を囲むとき、企業が使うのはふつう 【 】 です。半角の [ ] は、海外製のテンプレートをそのまま持ち込んだ形に見えます。括弧が半角になっているだけで、十分な違和感です。
大文字・小文字も、末尾の句点もそろっていません
3通を並べると、同じ差出人を名乗っているのに表記が統一されていないことが分かります。
| 社名の表記 | 末尾 | |
|---|---|---|
| 9/14 | AMERICAN EXPRESS(全部大文字)+ 半角スペース | なし |
| 9/15 | AMERICAN EXPRESS(全部大文字)+ スペースなし | 句点「。」あり |
| 9/16 | American Express(頭文字のみ大文字) | なし |
アメリカン・エキスプレスの正しい英語表記は「American Express」です。 全部大文字にはしません。
そして9月15日の件名は、末尾に句点が付いています。 企業のメール件名に句点を打つことは、まずありません。
3日で表記がこれだけ揺れるのは、本物ではありえません。 どれか1通だけを見ると気づきにくいのですが、並べれば一目です。届いたメールは消さずに残しておくと、こうした比較ができます。
9月に確認された「本物をほぼ完全に複製した」型
【American Express】〈締切間近〉お支払い方法の変更締切日時のお知らせ
(2026年9月11日)
これまで紹介した型とは、出来がまったく違います。 本文の一部を引用します。
カードのお支払い金額の変更は、締め切り間近です。 今月のお支払い金額変更 締め切り日時 2026年9月13日(日)22時 手続き完了分まで 【ご注意】 ●22時直前の操作の場合、お申し込みが集中しシステム上受付ができなくなる恐れがあります。リボ払い・分割払いへの変更によるお支払い金額の減額をご希望の場合、21時までにお申し込みを完了させてください。 ●本メールに記載の変更受付可能期間を過ぎてから"請求確定分"をあとリボまたはあと分割に変更した場合、マイアカウントの申し込み画面上の表示にかかわらず、次回のお支払い金額からは差し引かれず、次々回のお支払い金額に反映される場合があります。 ●「あと分割」はご請求締め日当日はご利用いただけません。
「あとリボ」「あと分割」「マイアカウント」といったアメックスの実際のサービス名が正しく使われ、注意事項の細かさも本物そのものです。 ポイント失効型のような「肝心の数字が空欄」も、不自然な急かし方もありません。
日付も正確です。2026年9月13日は日曜日で、合っています。
この型は、文面では見分けられません
正直に書きます。この偽メールを、文面の粗探しで見抜くのは難しいです。
おそらく本物のメールをそのまま複製し、リンク先だけを差し替えています。だとすれば、文面に矛盾が生まれる余地がありません。
では、どうするか。文面を読むのをやめることです。
- メールのリンクは押さない
- アメックスの公式アプリを、スマホのホーム画面から自分で開く
- アプリの中に同じ案内が出ているかを確認する
出ていれば本物、出ていなければ偽物。 これだけです。
この記事でここまで紹介してきた「社内向けの但し書きが残っている」「数字が空欄」といった手がかりは、気づけたら儲けものという位置づけに過ぎません。気づけなくても守れる方法を、先に習慣にしてください。
そして皮肉なことに、この精巧な型と、末尾に「※本メールはテスト用途のサンプルです」と書き忘れた雑な型が、同じ月に同じブランドで流れています。 「今回は雑だったから次も雑だろう」とは考えないでください。
9月25日:期限も脅しもない「もう変えました」型
【アメリカン・エキスプレス】ご利用限度額のお知らせ
(2026年9月25日)
この型には、ここまで紹介してきた特徴がほとんどありません。
期限がありません。「止まります」という脅しもありません。 淡々と、こう書いてあるだけです。
このたび、お客様のカードご利用状況およびお支払い状況等を確認いたしました結果、ご利用可能額について見直しを行うこととなりましたので、ご案内いたします。 変更後のご利用可能額につきましては、会員専用ページへログインのうえ、カードの「ご利用可能額」よりご確認いただけます。
「もう変更しました。詳しくはログインして見てください」。 急かさない代わりに、「いくらになったのか気になる」という気持ちだけで動かそうとしています。
急かされていないので、警戒のスイッチが入りません。焦らせない型のほうが、かえって手強いところがあります。
それでも、日付が食い違っています
本文をよく読むと、同じ変更について2つの日付が書かれています。
2026年9月6日より、現在のご利用可能額の設定が一部変更となっております。
■ご利用可能額の変更について 変更日:2026年9月24日
9月6日と9月24日。 同じ「見直し」の日付が、18日ずれています。
本物の通知なら、変更日は1つに決まります。2つ書けるのは、雛形の数字を差し替えるときに片方を直し忘れたからです。
期限が無い型でも、日付は2か所以上探してください。 突き合わせれば、まだ手がかりは残っています。
「いくらになったか」は書かれていません
そしてもう1点。
▼変更後のご利用可能額について *****
変更後の金額が空欄です。 「見直しました」と言いながら、いくらになったのかを示せていません。
利用可能額が気になったら、アメックスの公式アプリを自分で開いてください。 本当に変更されていれば、そこに出ています。
9月末〜10月:「セキュリティ設定」を餌にする型が3件
ここまでの型は「失効します」「限度額を見直しました」と、不利益を入口にしていました。9月末からは違います。
【アメリカン・エキスプレス】二段階認証設定で*****ポイント進呈|安全のため設定をお願いいたします
(2026年9月28日・10月1日に同じ件名)
「二段階認証を設定したらポイントを差し上げます」。 安全対策そのものを餌にしています。
安全対策に「先着5,000名様限定」はありません
本文を読むと、おかしさがはっきりします。
安全のため、二段階認証の設定をお願いいたします。 認証完了で、もれなく*****ポイントを進呈いたします。 ※先着5,000名様限定となります。なくなり次第終了となりますので、お早めに認証をお願いいたします。 ・ポイント進呈は、認証完了後、所定の期間内に付与されます。【24時間以内】
カード会社が、安全のための設定を「先着5,000名まで」で区切ることはありません。 全員にやってほしい手続きだからです。
「安全のために」と「早い者勝ち」は、同じメールに並びません。 並んでいたら、急がせることのほうが目的です。
「設定は完了しました。ただし不足があります」
9月29日と10月2日の2件は、別の矛盾を抱えています。
【重要】セキュリティ設定完了と不足情報のご登録のお願い
(2026年9月29日)
【ご確認】セキュリティ更新完了と情報登録のご案内
(2026年10月2日)
件名からして、すでにおかしくなっています。「設定完了」と「不足情報のご登録」が、1つの件名の中に並んでいます。
本文も同じです。
セキュリティ設定が完了しました ご登録内容を確認いたしましたところ、一部の情報に不足がございました。
完了したのか、不足しているのか。 2行のあいだで話が逆になっています。
「完了」で安心させてから「不足」で動かす、という組み立てです。安心と不安を続けて置かれたら、落ち着いて読み直してください。
そして期限は、ここでも相対的です。
ご登録期限 本メール受信後7日以内
日付を書かないので、いつ送っても成立します。この記事で繰り返し出てくる書き方です。
二段階認証は、自分から設定しにいくもの
二段階認証もパスキーも、設定したほうがよいのは本当です。 だからこそ、この型は効きます。
ただし、設定はメールのリンクからではなく、公式アプリやサイトに自分でログインして行ってください。 アメックスのアプリを開けば、設定画面はその中にあります。
ポイントがもらえるかどうかは、設定するかどうかの判断材料になりません。
10月:3日連続で、社名の書き方が全部違います
【アメリカン・エキスプレス】系统障害に関するお詫びと補償・特典のご案内(10月7日) 【American Express】ポイント有効期限切れのお知らせ(10月8日) 【American_Express】会員様へ:50,000ポイント受取期限のご確認(10月9日)
3日とも社名の書き方が違います。 カタカナ、半角スペース入り、アンダースコア(_)でつないだもの。
同じ差出人を名乗っているのに、表記が統一されていません。 この記事の9月中旬の節でも同じことが起きていました。本物の企業では起きません。
10月7日:「系统」は中国語です
1つめの件名を見てください。
系统障害に関するお詫びと補償・特典のご案内
「系统」は中国語の簡体字です。 日本語なら「系統」と書きます。
見た目が似ているので読み飛ばしてしまいますが、日本語のメールにこの字が出てくることはありません。 同じ型の混入は、Appleを装う偽メール(「决済を试みました」)でも確認されています。
「お詫び」で近づいてくる型です
この件名は、障害のお詫びとして補償・特典を配るという形を取っています。
「お詫び」や「補償」は、受け取る側に落ち度がなく、相手が謝っている形です。 警戒する理由が見つかりにくくなります。
9月末からの「二段階認証でポイント進呈」と、同じ入り方です。 怖がらせるのではなく、得をさせて動かすほうに寄ってきています。
アメックスからの通知は、内容が怖くてもうれしくても、リンクを踏まない。 公式アプリを自分で開けば、本当に障害のお詫びがあったかどうかが分かります。
見分け方
- アメックスが、メールのリンクからカード番号・パスワードの入力を求めることはありません。
- ポイント残高と有効期限は、アメックスの公式アプリ、または自分でブックマーク・検索から開いた公式オンライン・サービスにログインして確認します。
- 送信元アドレスやリンク先URLが、公式ドメイン(
americanexpress.com)と違う。 - 宛名が「様」だけで氏名が入っていない、ポイント数が空欄になっている。
- 本文に、社内向けの注意書きや不自然な但し書きが混ざっている。
アメックスをかたる偽メールは他の型もある
同じ時期、アメックスを装う偽メールは失効型以外にも確認されています。
- 「【アメリカン・エキスプレス】直近のご利用内容に関する確認とお願い」(7/31)
- 「不審なログイン検知のお知らせ」(8/6)
- 「[AMERICAN EXPRESS] ご請求金額確定のご案内」(7/17)
「利用確認」「不審なログイン」「請求確定」と入り口を変えていますが、狙いはいずれもリンク先でのカード情報・ログイン情報の窃取です。
もし入力してしまったら
すぐにカード裏面または公式サイトの番号からアメリカン・エキスプレスに連絡し、カードの利用停止・再発行を依頼してください。利用明細に身に覚えのない請求がないかも確認します。オンライン・サービスのパスワードを入力した場合は、公式サイトから変更し、使い回している他サービスも変更します。
不安なときは、警察相談ダイヤル:#9110、消費者ホットライン 188 に相談してください。
「これって詐欺?」で30秒チェック
- 選択式で30秒チェック
- スクショアップロードで詳細判定
- 完全無料・登録不要
困ったときの相談窓口
- 警察相談ダイヤル:#9110(平日8:30〜17:15・通話料有料)
- 消費者ホットライン 188(最寄りの消費生活センターへ)
- アメリカン・エキスプレスの公式サポート窓口(カード裏面の番号へ)
進行中の被害・緊急時は 110番(警察)へ。
参考情報・公的情報源
編集部
警察庁・国民生活センターの公表情報をもとに、最新の詐欺手口を発信しています。


